ルーファス・リン・ギャラリーさんの考えに対し、私がした決断

全3回に分けて連載してきた
ルーファス・リン・ギャラリーさん(以後ルーファスさん)シリーズ
今回が最終回になりました。
「ルーファス・リン・ギャラリーから頂いた展示の話への返答1」:第1回サイト内記事
「ルーファス・リン・ギャラリーさんの考え・私がした質問への回答 」:第2回サイト内記事
少し長いですが、ルーファスさんの本音、私の回答をまとめています。
丁寧にお返事を頂き、考えを頂いたのですが
私の方針には合わ無かった為、辞退させていただきました。
新鋭の作家さんを専門に声をかけているそうなので
疑問を持たれている方や、驚かれている方
私の記事が一案、参考になればと思います。
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
先ずは前回の質問に対する返答からです。
■赤字が私のメッセージ
■青字がルーファスさんからの返答
>多くの人に日本の芸術に関心を持って頂くと、ありますが
関心を持って頂きどうなって欲しいと考えられているのでしょうか?
長年想い描いた故に誕生した画廊であれば、
必ずなんらかのコンセプトがあるはずです。
文化の考えを広めるのであれば、一体どのような文化を
どのように紹介されるかできるだけ細かくお教えください。
美術に関するコンセプトの中にも、深いコンセプト、幅広いコンセプト、
一発的なコンセプト等の様々なものがあると思われますが、
我々のコンセプトは単純だと言えるかもしれません。
つまり、北米で見る機会がゼロかゼロに近い作品を
北米に住んでいる人たちも見れるようにする小さな夢です。
どの作品でも理解する視聴者および理解できない人が
居ると思われます。
理解する人たちの中にも良さの一部に気が付かない人も居るでしょう。
日本の現在の一瞬を絵画として、
そして日本人の手や心で作られたものとして、
ただスペースを設けて展示するだけで、カナダの現地の方に
新鮮な経験や知識を深める機会を与えることが出来れば、
いくら美術界の先輩に笑われるとしても、
いくら「ただの漫画やイラストだからアートとは言えないだろう」と
一部の訪問者に思われるとしても、
我々のコンセプトが役に立つと信じたいと思います。
>「発生する費用は、企画側の経費として出る」
という方法が筋の通った考えだと思います。
今回の出展についてはルーファス・リン・ギャラリー様からのご提案でした。
慈善事業の一環として展開されているのであれば
全て請け負って頂くべきではないか。
人件費、広い施設の家賃等の経費を考慮すると、
初日から相当赤字の状態で運営しつつあります。
我々の中では、有意義なコンセプトを実現したり
日本画家の海外デビューのチャンスを設けたり
北米の訪問者に今まで日本国内でしか見れなかった作品を
見るチャンスを与えたりしているので、
利益を上げることは度外視です。
但し、正直な所どれだけの赤字を耐えられるかの問題です。
いくら我々がこのギャラリーのコンセプトを信じていても、
関係者全員のために長期的にこの事業を維持したいと望む限り、
弊廊に展示する事が自分たちに利益があると判断して
我々のコンセプトに参加する意識のある画家の方の
支援に頼らざるを得ないのは財務的な事実です。
勿論、資金を出す価値がないと判断する
画家の方が参加されないケースはあります。
その場合も理解しており、ご考慮頂いた事への
感謝の気持ちをお伝えしております。
>金額を提示していないということですが
御画廊内に、作品の販売をしているという表示はあるのでしょうか?
これまでに売れた経歴があれば大まかな、
経緯をお聞かせ出来ないでしょうか?
昨年のオープンより、弊廊から直接作品が売れた
経験はございません。
但し、来客者より作品が気に入ったということで、
画家様のウェブサイトをご教示したり、また興味を持たれた画家様の
メールアドレスを許可を得てお教えしたりはしております。
また、カナダ、リッチモンド市のビジネスライセンスを
取得しておりますが、
営利目的としてのビジネス形態ではないため、
作品の販売をしているという表示は致しておりません。
以上、取り急ぎご質問へのご回答とさせて頂きます。
またご考慮頂き、ご賛同頂ければ幸いでございますが
そうでない場合にもご遠慮なくご一報頂ければと存じます。
何卒宜しくお願い致します。
というご回答。
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
今回のご回答は今まで頂いていたコメントにくらべ
ルーファスさんの考え、内情が分かりやすかった気がします。
北米で見る機会がゼロかゼロに近い作品を
北米に住んでいる人たちも見れるようにする小さな夢です。
文化事業などを考えられているのかと思っていたのですが
あくまでルーファスさんの小さな夢とのこと。
「ただの漫画やイラストだからアートとは言えないだろう」
という考えを忘れ、受け入れていく姿勢はとても大切な考えだと思います。
我々の中では、有意義なコンセプトを実現したり
日本画家の海外デビューのチャンスを設けたり
北米の訪問者に今まで日本国内でしか見れなかった作品を
見るチャンスを与えたりしているので、利益を上げることは度外視です。
但し、正直な所どれだけの赤字を耐えられるかの問題です。
我々のコンセプトに参加する意識のある画家の方の
支援に頼らざるを得ないのは財務的な事実です。
営利目的としてのビジネス形態ではないため、
作品の販売をしているという表示は致しておりません。
利益を度外視して運営するというのはあくまでルーファスさんの考え
しかし最初に頂いたメールの
弊廊はまだ海外ではあまり知られていない日本の美術家の
北米デビューの支援、日本美術の良さの紹介を主眼としています。
という支援の話であれば、財務問題は持ち掛けたルーファスさんの
マネージメント能力に関わってくる問題ではないでしょうか?
営利目的としてのビジネス形態でなくとも、
企画・運営・展開をしたいと望むのであれば
その望む当事者が、作り手の制作外の経費をサポート
しなければならないのではないかと思います。
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
・あまり表立ってはいませんが絵画の価格にはルールがあります。
詳細な相場は分かりませんが、新鋭の作家であればだいたい号1000円
それに技法や内約、更に経歴や人気などの付加価値が付いていき
価格は上がっていきます。
アートメーターの初期価格設定が妥当な相場ではないでしょうか。
(平方cm×5円:ハガキサイズだったら約750円)
以前YABさんの友人がB1サイズのイラスト5枚を1万円で売っていました。
(B1サイズは、新聞を一番大きく広げた時の大きさ)
一万円と聞くと一見すごい金額にも聞こえますが
相場からすれば、投げ売り並みの破格。
B1サイズの絵画キャンバスで近いモノを上げればF30号位です。
価格にすれば1枚につき3万円。
相場を知らなかったのと、馴染みの方への販売でその価格だったようですが
共通の師匠から大目玉を食らっていました。
「そこまでルールを崩してしまうと、業界全体に影響が出る。
お前一人が勝手なことをするな」
というものでした。
当時の(今もかもしれませんが)友人は無名の駆け出し
なんとか認めてもらい、収入を得たいという欲もあったでしょう。
師匠もそれを理解した上で叱責されていたと思います。
作品内容・技法に対する批判はしない方です
むしろ、新しいモノや考えは大いに歓迎される。
中身が空であったり、本人が破滅してしまうモノには
理由を添えて叱ってくださる方です。
今回のケースを師匠に相談はしていませんが
先程の叱責から考えて、私が作品外の費用を負担するのは
ギャラリー業界のルールを壊す事ではないかと考えました。
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
今までの記事にも書いたかもしれませんが、
今回のケースはルーファスさんからの提案です。
公募展などは「作品を審査して欲しい」というこちらからの意図があり
出品費用、搬入出などのモノを負担する流れはよく分かる。
GEISAI、デザインフェスタなどのブース展示も
複数作家のグループ展のようなもの。
自己費用が発生するのは当然かも知れません。
しかし、今回に限らず企画展の場合はそれらには該当しない気がします。
カナダのギャラリーと日本のギャラリーでは
考え方が異なり、カナダでは当たり前の手法なのかもしれませんが。
ルーファスさんの考えに賛同し、展示をされる方もいます。
金銭の表示をしないというのは、
とても魅力的で理想的な方針かもしれません。
ただこの経費の問題を承諾してしまえば、
他のギャラリーに失礼ではないかと考えました。
仰られた赤字云々はオーナーの技量の問題です。
加えて、ルーファスさんが見られたかは定かではありませんが
今回ご指名頂いた「飛ぶように、漂うように」という作品は
ART-Meterというサイトで販売をしています。


半年間、売れないまだまだのもので
そろそろ特売セールの声も聞こえ始めましたが
商品として販売されているものです。
これを無償で貸しだしてしまえば、これまで見てくださった方
いるかは分かりませんが、購入の検討を僅かにでもされた方に
とても申し訳が立たないのではないかと思います。
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
この、ギャラリー・美術業界と閲覧者に対して申し訳ないという考えから
今回のご提案は辞退させていただきました。
上記の旨に加え、作品販売に関して思うところがあり
以下の余計なお節介を加えた返信メールを送りました。
ご回答の内容から、御画廊様の考え方には賛同します。
また、私の考えとしても
国を離れ、多くの方に見て楽しんでもらいたいのが本心です。
本心から望まれるようであれば、新たに作品を制作し
ご判断を仰いでいただきたいとも思います。
しかし、他の方の失礼になるような行動は慎みたいと思っております。
金銭や作品が売れる売れないという問題は、
私も考えずにおきたい問題ですが
先述のとおり、ルーファス・リン・ギャラリー様だけを
特別視することは出来ません。
よって、今回は私の負担での作品を
お貸しすることは出来ないのが結論です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ルーファス・リン・ギャラリー様の方針とは異なるかもしれませんが
作品をポストカードのような手に入れやすいものとして
販売してはいかがでしょうか?
作品を見られた方で、手元に欲しいと考える方も
いらっしゃると思います。
作品を売りつけられるという不安は理解できます
そして、販売により画廊に対する印象が変化する恐れもあります
私は日本で生まれ育ち、カナダの方の考え方を理解していませんが
きっかけが有るのと無いのとでは、大きく異なると思います。
たとえポストカードだとしても
本の平積みや、雑貨店のように並べるのではなく
一つ一つを綺麗に並べれば、商品でありながら
作品のように魅せることが出来ると思います。
歴史のあるブランド品などは、その見せ方を研究されていると思います。
収益を度外視し、変な印象を与えないようにする方針は
理解できるのですが、少し視点を変えれば
求める人にきっかけを与える配慮となるのではないかと思います。
今見返しても、なんとも余計なおせっかいですね。
この後、突然の連絡をするお詫びのメールを頂きましたが
全く触れられていませんでした。
なんという要らぬ世話だったことか。
ですが、博物館学芸員の資格を持ってるYABさんが強く押してた内容なので
機会があれば記事にしてみようと思います。
(入館者へのあいさつ係くらいの業務しか出来そうにないですが。)
私の質問とルーファスさんより頂いたご回答
ルーファスさんとのやり取りはこれで終了です。
今回辞退した判断内容は、あくまで私の考えであり、
展示を希望される方はその方なりの考えがあると思います。
最初に頂いたメールには経歴の強化とありましたが
このケースは何らかの考えを持たず、賛同・拒否を行えば
逆に経歴に傷が付くのではないかと感じました。
ただ、海外に出品できるという魅力もあるので
それに対しての賛同もいいかもしれません。

このルーファス・リン・ギャラリーさんシリーズを続けて、
多くの方が疑問を持たれていました。
私もまだまだ駆け出しの者なので、この意見が全てではないと思います。
また例外として、私も友人の小さなパーティーや企画などのイベントで
賑やかせ程度の意図で作品を貸し出したりすることはあります。
これはある程度の信頼があるから出来ること。
流石に、会ったこともない方には何らかの裏付けが無いと出来ません。
ルーファス・リン・ギャラリーさんシリーズの記事が今後、
ルーファスさんの考えに賛同、疑問を持たれる方の
一案、一考する機会となれば幸いに思います。
しかし、記事を連載していく中でルーファスさんのブログを見つけました。
今回のやり取りは、ギャラリーのご担当の方が受け答えして下さったのですが
日本語がご達者なのに、ご本人からのメッセージを頂けなかったのが
なんだか残念な気持ちになりました。
厳正な審査ゆえの選定なら、代表者が出てきてもよさそうな気がしました。







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