毎夜1枚のカードを描き続けたロベール・クートラス

先週末に紹介した装苑に載ってたフランスの画家
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さん
カルト(carte)という手札大のカードを亡くなるまで、
毎夜描き続けた画家だそうです。
カルトというモノ(音の響き)と、温かい画風に惹かれて
画家さんについて調べてみました。
カルト(carte)について
フランス語でカルト(carte)、英語に直せばcard(カード)です。
これは国によって違う読み方ですね。
ちなみに、ポルトガル語ではcarta(カルタ)そう、日本の歌留多は
ここから来ています。
カードという言葉は、とても広い意味を持っていて
英語ではトランプのこともカードと呼ばれています。
また、ドイツ語ではKarte(カルテ)と変わり、
医者の書く診療記録書として聞き覚えがあります。
意味は広いですが、主には規格の整った手札というのが
一般ではないでしょうか?
17年もの間毎夜描かれたカルト

ecrit エクリ | Press | Robert Coutelas ロベール・クートラス
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さんは
亡くなるまでの約17年間、毎夜自分の為のカルト画を制作したそうです。
1985年、55歳で世を去るまでに描かれたカルトは約6000枚。
絵を書いたりする人なら分かると思いますが、凄まじい量です。
彼の作ったカルトの規格は、縦12cm×横6cm程
タバコの箱よりすこし大きいくらいの小さな絵画です。
素材は厚めのボール紙に油絵の具、ガッシュなどで描いていました。
「靴の入った函、ボール紙、ポスターの裏...、拾ってきたものや、
ありあわせのものに、黒、または"夜のブルー"と呼んでいた
深みのあるブルーを下地に縫って貧しいキャンバスとして、
そこにさまざまな絵を描いた」
(作品集『僕の夜』より)
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さんは
多数の賞を得、幾つかの画廊と契約する機会があったそうです。
画家として成功していた。ように思えるのですが
契約を解除、画廊の求める作品を描かず
貧困の中、自らが望むものを描き続けたのです。
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さんに対する印象
所見の印象は「オシャレだな」ということでした。
装苑を紹介した時にもdocomoも着せ替え携帯を連想していました。
整いすぎず、かつ丁寧に描かれた作風からは、
とても温かい印象を受けました。
調べていく中で色々な方の評を見てみましたがどちらかと言えば、
切ないやオドロオドロしいといったネガテイブな方が多い気がしました。
少し暗い印象で語られてはいるのですが、気味悪がるというよりも、
そのネガティブに浸って楽しんでいるようでした。
このカルト(carte)たちには「Mes Nuits(僕の夜)」
という名が付けられています。
意図的に毎夜描くものと決めていたのが分かります。
「僕の中で黒い獣が蠢いて苦しい」という画家の言葉があるそうです。
小さな手札には、この苦難に立ち向かう願いが
込められているのかもしれません。
画家の真意は分かりませんが
評されている多くの方が楽しんでいるような気がしたのは
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さんの
小さな宝物を見たという感想からのような気がします。
深い精神的な意味が込められているにしろ
カルト(carte)は生活の安定を蹴ってまで、大切に作った物。
まるで子どもが集めた、ガラス玉のような小さな宝物のように思えます。
「暗い」と「温かい」相反する意味のようですが
それが一体となっている作品、とても魅力的です。
Robert Coutelas(ロベール・クートラス)さんの画集の刊行に合わせて
都内三ヶ所で展覧会が行われたそうです。
内二ヶ所は会期が終了してしまいましたが
POSTALCO会場は2011年1月8日(土)まで開かれているそうです。
気になった方は、足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
うーん、画集欲しいなー。
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