パネルの水張りで出てくるアク(木の汁)対策!下張りの方法

今回は、紙の上にイラストを描く人の殆どが行うであろう
「水張り」の小技「下張り」について。
パネルから切り取った時にべったり付いてしまう
アク(木の汁)が気になる方にオススメです。
木から出るアク対策の技法・下張りについて
私が下張りという技法を知ったのは、教育機関を去って
完全に独学になってからのことです。
色々と調べてみると、主に「日本画」で講義されている模様。
デザインや美術、イラスト関係だとすっ飛ばして
いきなり水張りのみを教える所が殆どの印象でした。
下張りの方法に関しては


PDFにまとめていらっしゃったので
詳細はこちらのページを挙げておきつつ
今回は、自分で行った備忘録として書こうと思います。
準備するものと、大体の時間
要する時間は紙の裁断を含めて3、40分あれば十分だと思います。
慣れれば15~20分くらいでの流れ作業も可能な気がします。

道具
○ 鳥の子紙(板・パネルより1~2センチ以上の大きさが理想)○ 板・パネル(板の場合はB4の大きさが限界だと思います)
○ 木工ボンド
○ ヤマト糊
○ 大きめの平筆×2本(水用と糊用)
○ 糊の溶き皿(ボールとか広めの器)
○ 水を入れとくバケツ
○ 綺麗なタオル
あると便利な道具
糊を混ぜる道具○ 小型のペットボトル容器
○ お湯
小型のボトル容器に木工ボンドとヤマト糊、少量のお湯を混ぜて
振ると簡単に混合糊を作ることができるそうです。
沢山の下張りを作る方にオススメ。
紙の取り扱い
○ 撫刷毛
○ 余裕を持って紙を置ける板
あれば楽になると思うんですが、無くても綺麗なタオルで
いいと思います。
ただ、強く圧をかけると紙が痛んで(毛羽立って)しまうので
要注意です。
いざ貼りつけてみる。
工程を見れば分かるように、板に紙を貼り付ける作業です。
スプレー糊だと、粘着力が少なかったりするのでちゃんと糊を使う印象。
慎重にしなければならない作業ではあるのですが
時間に余裕をもって、丁寧に行えば上手くいくと思います。
まずは板に合わせて切った紙に水を付けて湿らせます。
紙の裏表を確かめて、裏の片面だけ水を付けていきます。
これによって紙が伸びるのと、糊を載せる時にスムーズになります。
水張りほど慎重にする湿らせ方ではないと思いますが
紙の湿らせ方の順を載せておきます。

よく言われるのが「イギリス国旗の形から埋めていく」というもの。
水張りの時と同じような形で塗って行きました。
水が染み込むのにしばらく時間がかかると思います。
(5~10分くらいなのかな?)
この間に、貼るパネルの面をよく拭いておきます。
出来ることなら湿らす前に掃除して、再度拭くのがいいかも。
用意する糊は30×40センチほどの板であれば
木工ボンド・ヤマト糊10グラムづつくらいの量だと思います。
(感覚だとリップクリームくらいの体積?)
少し勿体無い気もしますが、捨てる覚悟を持ちつつ
糊は多めに作っておいた方がイイです。
紙がカラカラにならない間に、紙の裏面に糊を塗り込んで
板・パネルを乗せて貼りつけていきます。
糊の量は、張った時に凹凸にならないように均一に。
薄過ぎると、水張り時に剥がれてしまったので
糊の量は盛りすぎない程度に多めがイイような気がします。
板と紙の間に入ってる空気を撫刷毛かタオルで押し出しつつ
貼り込んでいきます。
この時、板を強く掴んだり圧をかけてしまうと
指の形に凹んでしまうので、ちょっとだけ注意。

耳の部分にも端まで糊を付けてきっちりを貼り付けます。
私はギリギリで紙を用意してしまったので
念のため水張りテープで補足することにしました。
あとは、しばらくの時間(夏なら1日、冬なら1日半くらい?)
乾燥させて下張りの完了です。
アルス画房さんの説明にもありましたが
完全に乾く前に水張りをしてしまうと、
アクが浮いてきてしまうそうなのでしっかり乾かすこと。
今回作った板のサイズについて
今回は、大量に水張りをやって遠慮なしに書ける環境を作ろうと
30×40センチの板12枚の下張りを行いました。
大体A3(297x420)くらいのサイズなのですが
これ以上大きい場合は反ってしまうので限界の大きさだと思います。
30×40センチより大きなサイズに貼られる場合は
パネルなり、背面に支柱のあるものを利用するのが無難。
使った板は4ミリ厚のラワンベニヤ。
安価なので利用したのですが、反りを気にされる方は
シナベニヤを使った方がいいと思います。
板はホームセンターで3×6板というサイズを買ったのですが
このサイズから取れるのが12枚だったのでこの枚数。
実は、水張りはパネルにホッチキスで貼り付けるのが簡単で好きです。
が、パネルだと机の面から数センチ上がってしまうのがイヤなので
板に水張りテープで貼るのが最近の主流。
反りを気にしてベニヤ板を使っていますが
お金が有り余るようだったら、鉄板とかに貼ってみたいなー
なんて思っています。作業机を作ってもいいけどね。
下張りについて思った事
今回、下張りの記事を書いたのは、この技法について
知らない方がちょくちょく訪問くださることから。
知らない事が悪いと言うよりも、これを教えないことに対して
いかがなものか?という印象が強くあったからです。
私は、デザイン関係の学校に行ったりもしましたが
小耳に挟むことすらありませんでした。
デザインをする上で
学校の時点では「作品」だが社会においては「商品」
という概念を教わりました。
それが、表面的なモノを売るという建前であっても
「商品」であるからこそ、納品後の最低限の保証はするべきだと思います。
最近は、アナログ物ではなくデータで納品することが
多くなっているとはいえ、イラストを描く仕事につく学生もいるはず。
イラスト実物を販売する者もいるのであれば
作品を作る上でアクや画材の特性に対する対処は
作者が気遣う部分だと思います。
これをするくらいなら、沢山描いて腕を上げる努力をしなさい。
なんて意見もありそうなんですけどね。
水張りの講習をする際には、豆知識程度でもいいから教えて欲しかったなぁ。
自分で下張りを調べてみると
アクは、年々の劣化時に影響を与えると書かれていました。
誰しもが、数百年残る絵を描く構えじゃないと思いますが
受け取った人がどのように取り扱うかは別の話。
「大切な作品」や「人に渡す作品」などのように
少し特別な意を込めるものを描かれる方や
なんとなくアクが気になる。
なんて方は簡単なので是非試してみてくださいね。







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