氷河期のルーブル美術館を描いたニコラ・ド・クレシー

フランスのバンド・デシネの画家、そして原作者イラストレーターの
肩書きをもつNicolas de Crécy(ニコラ・ド・クレシー)さん
「氷河期」というタイトルの表紙が妙に印象的でした。
この「氷河期」はルーブル美術館出版部のプロジェクトの一環として
出版されたものだそうです。
このプロジェクトの背景やベルギー・フランス周辺の漫画バンド・デシネなど
色々調べてみると、なかなか面白かったので今回は彼を紹介。
ヨーロッパの漫画 バンド・デシネについて
先ずは、バンド・デシネについての説明から。
バンド・デシネ
バンド・デシネ(仏: bande dessinée、バンデシネとも)は、ベルギー・フランスを中心とした地域の漫画のことである。略してB.D.(ベーデー、ベデ)とも表記される。
「bande dessinée」の名前は、「描かれた帯」という意味のフランス語に基づく。意訳すれば「続き漫画」であり、英語では「comic strips」に相当する語である。フランス語圏で、漫画は「9番目の芸術(le neuvième art)」として認識されており、批評や研究の対象となっている。ウィキペディア:バンド・デシネ
スパイダーマンやバットマンのようなアメリカの漫画を
「アメコミ」と一括りにするようなものですね。
バンド・デシネの場合は国を越えてのジャンルなので欧コミという感じかな。
認知度向上のために「ユーロ・コミックス」として位置付けようとされてる模様。
漫画ではあるんですが、日本の漫画と比較すると
ストーリーよりも絵を重視する傾向にあるそうです。
白黒作品もあったりするようですが、あまりトーンは使われていないようで
説明のとおり、
バンド・デシネは一つの芸術・絵画のように扱われている印象。
ルーヴル美術館BDプロジェクトについて
さて、今回あげた「氷河期」
副題にも明記されていますが、ルーヴル美術館のプロジェクトです。
BDはバンド・デシネの略語ですね。
このプロジェクトは、ルーブル美術館をテーマにして
勢いのある漫画作家に漫画を描いてもらおうというプロジェクト。
「世界の画家が描いたディズニー」や
「182人のイラストレーターが描く 新訳イソップ物語」のようなものですね。
プロジェクトには以下5人の作家が参加しています。
ニコラ・ド・クレシー「氷河期」
マルク=アントワーヌ・マチュー「レヴォリュ美術館の地下」
エリック・リベルジュ「奇数時間に」
ベルナール・イスレール「ルーヴルの上に広がる空」
荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」
「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な荒木飛呂彦さんも参加されているので
ご存知の方もいるかもしれません。
川端康成さんの小説「伊豆の踊子」の表紙を描かれたりと
彼も面白い活動をされていますね。
Nicolas de Crécy(ニコラ・ド・クレシー)さんと「氷河期」への印象


本作の舞台は遠い未来のルーブル美術館。
現代のルーブル美術館が、謎の古代文明くらいになるくらいの未来。
未来には氷河期が訪れ、人々の文明は氷の中へと失われていきました。
その世界での歴史学者が、失われた文明を探し
氷の中のルーブル美術館を発見。
そこに残された収蔵品を見て、面白い解釈(本人は大真面目)をして
過去(現代)の文化を推察していくというストーリーです。
あんまり芸術のコンセプトなんかに興味ない人が作品を見て、どう思うか。
といったものでしょうか。
作品を知っていれば、突拍子も無い解釈をしていてで笑える。
あまり芸術に詳しくない人でも、キレイな作品で面白い。
と、万人に向けた要素が仕込まれています。
彼の作品を始めて見た時の印象なんですが
私は作品に出てくるメガネをかけた人物にとても怪しい印象を持ちました。
「裏で爆弾でも作ってんじゃないのか?」といったような怪しさ。
マッドサイエンティストではありませんが、どことなく影がある印象です。
「氷河期」の表紙に描かれている動物も怪しいメガネ。
メガネフェチとしてはたまらない作風ですね。
話が違いますね。
影を持った雰囲気と、氷河期という環境が
上手く馴染んでいると感じました。
多分、砂漠よりも氷河の方が似合う。気がする。多分。
積もる雪や氷が、無駄な温かみを消し去ってくれるからでしょうか。
バンド・デシネという美しさを重視したこの漫画。
キレイで、面白くて、深い。
美術に興味のある方へのクリスマスプレゼントにいいかもしれません。
ルーヴル美術館BDプロジェクト イベント情報
今回、Nicolas de Crécy(ニコラ・ド・クレシー)さんと併せて紹介した
ルーヴル美術館BDプロジェクトですが、現在開催中のイベントです。
もともと今年11月に京都国際マンガミュージアムで開催された展覧会で
なかなか好評だった為に、横浜にも巡回しようとなった経緯。
ライブでいうところのアンコールなので、お墨付きの内容です。
日時は2010年12月17日(金)まで
午前11時30分~午後7時(※最終日12月17日(金)は午後5時まで)
だそうなので、気になる方は足を運んでみて下さい。
会場などの詳細な情報は以下

マンガ・ミーツ・ルーヴル――美術館に迷い込んだ5人の作家たち
漫画のステータスについて
wikiの説明にもありましたが
フランス語圏で漫画は9番目の芸術とされているそうです。
批判の対象にもなっているようですが、芸術としての研究も行われている。
漫画も一つの芸術として根づき始めたんだなという印象です。
最近はそうでもないかもしれないですが
基本的には、海外の意見に翻弄されやすい日本人です。
今まで言ってた(考えてた)ことと意見がガラっと変わる方も
いらっしゃるかもしれませんね。







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